2021年共通テスト物理の全体概況・正答率・問題ごとのポイントとともに分析をしていきます。
解説動画もアップしてますので、理解ができない問題があった際にご活用ください。
全体概況
全国平均点
62.36点(得点調整後)(前年60.68)
平均点は上がっていますが、これは得点調整後の点数です。
素点でいうと少し下がっているので、やや難化といえます。
分量
大問数は4(前年5)、設問数は21(前年20)
大問数は減りましたが、解法が直感で浮かぶ問題が減り、受験生にとっては時間がかかるような問題が増えた印象です。
それでも慌てて解く必要はない分量だと思います。
特徴
初めての共通テストとなりました。
しかし、試行調査で見られた実験考察の問題などは出題されず、少しだけ定性的な問題が増えた程度の変化で、ほぼセンター試験と同じような傾向だったといえます。
一方で、国立の2次試験に出るような問題も出題されています。いわゆる『センター対策』だけをした受験生は思うように得点できなかったと思われます。
共通テスト対策をしようと思ったら国立2次に向けたような勉強をするのが良いでしょう。
第1問(小問集合)
詳しい解説は解説動画をご覧ください。
fa-youtube-play解説動画
正答率とポイント
小問番号 | 正答率 | 最多の誤答 |
問1-空欄1 | 87.8% | |
問2-空欄2 | 12.3% | マーク6(68.5%) |
問3-空欄3 | 75.5% | |
問4-空欄4 | 81.6% | |
問5-空欄5 | 63.9% |
問2は力のつりあいの問題で低正答率でした。マーク6を選ぶ誤答が多かったようで、複数物体の力を見出すのを苦手とする受験生が多いことがわかります。
教員の目から見ると問5の熱力学の問題の方が難しいのですが、正答率はそこそこです。選択肢が4択であり、わからなくても勘で正解になっている受験生が多いのでは?と思います。
(参考:問2)
第2問(電磁気)
詳しい解説は解説動画をご覧ください。
fa-youtube-play解説動画
正答率とポイント
小問番号 | 正答率 | 最多の誤答 |
問1-空欄6 | 76.2% | マーク1(19.4%) |
問1-空欄7,8,9 | 46.9% | |
問2-空欄10 | 68.6% | |
問2-空欄11 | 40.5% | マーク6(33.8%) |
問3-空欄12,13,14 | 48.8% | |
問4-空欄15 | 36.9% | マーク1(38.5%) |
問5-空欄16 | 69.9% | マーク1(18.5%) |
問6-空欄17 | 55.7% | マーク4(21.4%) |
Aパートで『スイッチを入れた直後のコンデンサーを導線とみなす』という出題がありましたが、これを入試問題で問うのには問題があるように感じています。
実際には電位差0のコンデンサーであるわけで、導線ではないからです。
できの悪い問題集の解法テクニックみたいなことを聞いているわけです。それでいいのか共通テスト。
空欄15は『導体棒の単位長さあたりの抵抗値はr』という条件を『導体棒の抵抗値はr』として解いてしまうとマーク1を選ぶ誤答になります。
物理と関係ないひっかけで、共通テストが何を問いたいのか、ますます疑問になるわけですが、このような出題があることを踏まえて対策をする必要があります。
空欄17が最も難しい問題だと思われます。2つの導体棒で運動量が保存するということを見極めるヒントが空欄16の設問になっていますが、国立2次試験などで出題されがちなテーマです。
解いたことのある受験生は有利だったでしょう。
内容が難しいのに正答率がそこそこ高いのは、選択肢が4択と少なく、電磁力の向きがわかっていれば実質2択だったので、運動量保存に気付けなくても勘であたる場合があったからでしょう。
第3問(波動・原子)
詳しい解説は解説動画をご覧ください。
fa-youtube-play解説動画
小問番号 | 正答率 | 最多の誤答 |
問1-空欄18 | 74.1% | |
問2-空欄19 | 82.3% | |
問3-空欄20 | 63.6% | |
問3-空欄21 | 69.8% | |
問4-空欄22 | 71.3% | |
問5-空欄23 | 35.4% | マーク2(43.6%) |
問6-空欄24 | 41.7% | マーク4(24.4%) |
正答率とポイント
Aパートはダイヤモンドが輝く原理を題材にした光波の問題でした。日常生活の中にある物理現象を題材にするのは新傾向の問題ですが内容は基本的なので、慌てずに解くようにしましょう。
Bパートは原子分野で正答率が低かったです。
原子分野の中であまり典型・頻出ではないテーマだったので仕方ない感じがします。今までは受験直前期に、サッとやってしまえばよかった原子分野ですが、他の分野同様に早めの習得と練習を重ねる必要が出てきそうです。
第4問(力学)
詳しい解説は解説動画をご覧ください。
fa-youtube-play解説動画
正答率とポイント
小問番号 | 正答率 | 最多の誤答 |
問1-空欄25 | 79.7% | |
問2-空欄26 | 88.4% | |
問3-空欄27 | 46.8% | マーク3(27.2%) |
問4-空欄28 | 58.7% |
共通テストの新傾向として『会話形式の問題』が登場しますが、会話である必要がない出題でした。会話文問題を作るのは難しい、ということがわかります。
実験考察問題では会話が作りやすい印象があるので、来年の問題では実験考察&会話文という問題が出るのは?という予想をしてます。
空欄27では、2物体が一体となる運動を、反発係数e = 0の衝突である、と判断できれば力学的エネルギーの変化を正しく分析できます。なんとなく保存しそう、と考えるとマーク3の誤答を選ぶ結果となります。
終わりに
- 共通テスト一発目はセンターとあまり変わらなかった。
しかし来年もそうとは限らないので、いろいろな問題を解いて対策をした方が良いだろう。 - 選択肢が少なくなっており、平均点を水増ししているようにも見える。
理解を問う出題になっていなくてモヤモヤする。 - 原子分野を今までよりきちんと演習していく必要がありそう。
こんな分析となりました。第二日程の方も正答率わかり次第、分析したいと思います。
またの閲覧をお待ちしています。