概念理解問題の紹介【加速度と速度の違い】

力と加速度と速度の明確な区別を、生徒は最初は持てません。丁寧に小テストなどで聞いていくことで、少しずつ身につけさせる必要があると思います。そんなときに出題したい問題を紹介します。

問題1 力と加速度

エアーホッケーの台上にパックが置かれている。台とパックの間には摩擦は無いものとする。パックに一定の力を一定時間加えると、ある速度になった。仮に、加える力を半分にして同じ速度にする場合、かかる時間は元と比べていくらになるか。

(ア) 4倍
(イ) 2倍
(ウ) 同じ
(エ) 半分
(オ) 4分の1

 解答は イ 

力が半分なので、加速度も半分になり、加速度が半分なら速度の上がり方も半分になるので、時間は2倍かかります。

あまりにも簡単に思えるかもしれません。しかし、運動方程式を習いたての時は、問題集などを解き進めても運動方程式の練習しかしていない場合が多いのです。加速度を求めた後、速度に関して聞かれる問題はあまり扱われないのです。なので、こういった問題で、速度の話まで展開してあげる必要があるでしょう。

問題2 力と質量

エアーホッケーの台上にパックが置かれている。台とパックの間には摩擦は無いものとする。パックに一定の力をある時間加えると、ある速度になった。仮に、加える力の大きさも、加える時間も変化させずに、パックの質量を2倍にするとパックの速度は元の条件の場合と比べてどうなるか。

(ア) 4分の1
(イ) 4倍
(ウ) 半分
(エ) 2倍
(オ) 同じ

 解答は ウ 

質量が2倍だと、加速度は半分になり、加速度が半分なら速度の上がり方も半分になります。そして時間は同じなので、最終的な速度は半分になるといえます。

問題1の内容で変化する条件が少しだけ変わっています。問題1を解いた後のやり直しや、小テストで問題1を出したときの再テストに活用したい問題です。 

問題3 速度と加速度

エアーホッケーの台上にパックが置かれている。台とパックの間には摩擦は無いものとする。パックに一定の力をある時間加え、手をはなすと、ある速度を得た(この速度を初速度v0とする)。その後、もう一度、進行する方向に同じ大きさの力で同じ時間だけ力を加えると、この期間の速度の上昇量はいくらになるか。

(ア) 初速度の2倍の量上昇する
(イ) 初速度の4分の1の量上昇する
(ウ) 初速度の4倍の量上昇する
(エ) 初速度と同じ量上昇する
(オ) 比べるには情報が不足している

 解答は エ 

同じ力を加えるなら、同じ加速度であり、同じ時間だけ加速させたらなら、速度上昇も同じになります。よってエ。

生徒は「速度を持っているときは速度の向きに力が生まれる」と勘違いしたり、「最初に速度を持っている分、勢いがあるから、速度上昇量も増える」という勘違いをしたりします。速度と加速度には直接的な関係がないことを意識させることが目的の問題です。問題1とともに、1回目の小テストに出したい問題です。

終わりに

今回の問題3つは、高校1年生対象で、運動方程式を習いたての生徒に課したい問題でした。教員からみると難度が低く見えても、習いたての生徒には必要な問題です。小テストに導入するのがオススメです。

今回からしばらく、運動方程式習いたてシリーズを続けていこうと思います。やっぱり力学は運動方程式が基本です。課しておきたい問題はたくさんあって、だんだんと難しくなっていきますよ。


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