2019年岩手大前期 物理入試分析 傾向と対策

2019年度岩手大学 前期 物理の問題を分析します。

1.問題構成

大問1 力学 万有引力 《基礎》
大問2 熱力学 気体の状態変化・熱量保存 《基礎》
大問3 電磁気 交流の発生・電磁誘導 《やや難》
大問4 波動 波動の用語・ドップラー効果 《基礎》
大問5 力学 剛体・粗い面上での運動 《基礎》

問題のダウンロードはこちらから(岩手大の公式HPです)

2.かかった時間

かかった時間:55分

試験時間は、
理工・農学部は大問1〜5を解き、120分
教育学部は大問1〜4を解き、90分
解答時間には余裕があります。

ただし、かかった時間が大問ごとにかなりの差が出ました。

大問1 万有引力 《基礎》 6分
大問2 気体の状態変化・熱量保存 《基礎》 16分
大問3 交流の発生・電磁誘導 《やや難》 18分
大問4 波動の用語・ドップラー効果 《基礎》 6分
大問5 剛体・粗い面上での運動 《基礎》 9分

大問によってかかる時間に大きな差があると、解いていて不安になりがちです。そういう傾向のある大学なんだ、と思って臨む必要がありそうです。

3.筆者の正答率と各問題のポイント

大問1 完答
大問2 完答
大問3 完答
大問4 完答
大問5 (4)で、μ=kμ' をμ'=kμと勘違いして、間違える

典型問題を押さえつつ、思考力も問われる良問ぞろい問題でした。夏休み明けの生徒の演習にぜひ使いたい問題です。

大問1について

1問目のみ運動量の問題。2問目以降は万有引力の問題です。全て典型問題なので完答を狙いたい大問です。

大問2(前半)について

前半は気体の状態変化で、頻出・典型ですが問われ方が回りくどく、理解が浅い生徒は完答できなかったかもしれません。

熱力学第1法則で「熱を吸収した、放出した」「仕事をした、された」による立式の変化に、生徒は対応できないことが多いです。学ぶ際に、色々なパターンを網羅するのではなく、1つの軸を持って学習しておくことをお勧めします。

私は生徒に以下の形で習得するように指導しています。

 熱力学第一法則はこの形で習得すべし

Qinが負になるようであれば、それは熱を放出していて、Woutが負になれば、それは仕事をされている、と考えます。

今回の問題ではさらにエネルギー表を用いて情報を整理すると整理しやすいです。

エネルギー表を埋めるために、WoutやΔUを表から計算します。
WoutはP-Vグラフの面積から求めます。この際、Vが減少する向きの場合は負になることに注意します。
ΔUは公式より求めます。

 内部エネルギーの公式
 

こうして完成したエネルギー表が以下のようになります。
(a~eの記号は設問になっているところ)

ここで、TA<TCなので、C→AでのΔUは負になることに注意します。(温度の大小などもグラフから判断できるように訓練しておく必要がありますね)
それを踏まえると、以下のように書き直した方が良いです。

このエネルギー表を書ききった上で問題を解いていくと、非常に優しく、正負の誤りもなく解答ができるはずです。文章の通りに空欄を単純に埋めていくと、情報が多くなりすぎて途中でこんがらがる生徒が出てくるでしょう。

大問2(後半)について

後半は熱量保存と潜熱の問題で、氷から水への変化が入った分、少し計算が複雑になります。図を用いた整理ができていないと立式を間違える可能性はありました。

大問3について

交流の発生の問題です。後半は永久磁石を回すという目新しい設定でした。しかも解答がコイルを回している時と同じなのでさらに戸惑いました。

その後、コイルも回り始め、コイルが回っている状態の起電力はいくらかという問題へと続きますが、「何が起きているのか」「どういう状況なのか」を理解するために、何回も文章を読む必要がありました

生徒はわからないとき、諦めが早いです。わからない時はもう一度問題文を読むこと、を口を酸っぱくして伝えて起きたいです。

また、三角関数の微分が必要な問題でした。本来は微分公式を使わなくても解けるようにしないと大学入試にしてはいけないのでルール違反チックです。
生徒には三角関数の微分で交流を考えられるように仕込んでおきましょう。

大問4について

後半のドップラー効果の問題で、x-tグラフを用いた考察を誘導しています。公式を暗記して、変化後の振動数を出すだけの練習をしている生徒は、多少戸惑うかもしれません。

きちんと音源、音波、観測者の位置関係から公式を導く練習を重ねておく必要があります。

大問5について

前半の剛体も、後半の斜面上での運動も特に大きな壁はなく、完答が狙えたと思います。

4.岩手大学まとめ

問題は非常に簡単な設定で、何問か、目新しいものや戸惑うものが用意されている構成です。

こういった問題の性質上、高3夏明けの演習などで取り組むのに適した難易度といえます。あまり時間がかからず解き終わることからも、使いやすい問題だと思います。


筆者自身の本が発売されました!!
学びのプロセスをひとりで追体験できる参考書。
詳しい解説と適切な問題配置で深い概念まで習得でき、初学から入試レベルまで対応可能です。


お手にとっていただけると幸いです。

おすすめの記事