板書ノートとプリントはどちらが学習効果が高い授業か

先生によって、プリント派、ノート派、ミックス派、さまざまな授業スタイルがあると思います。私はいろいろ経由して、結果的にプリント派になりました。それぞれのメリット、デメリットをまとめてみます。

1. ノート

1番メジャーな授業形態でしょう。黒板に教員が図や説明を書き、チョークの色を使って視覚に訴える授業ですね。

色を使えることは非常に物理では有意義です。
例えば、以下のように、力や運動方程式を着目物体ごとに書き分けることができます。

ただし、生徒が写すのに時間がかかる、生徒が間違えて写す、生徒がアレンジ書き込みをして、それが間違いを含むものや思考を放棄したショートカットになりやすい、などのデメリットもあります。

2. プリント(穴埋め)

プリントといえばこの授業形態を思い浮かべる人が多いでしょう。重要なポイントや、思考を深めてもらいたいところを空欄にして穴埋めさせることが多いですね。

この形態は一歩間違えると、非常に学びが薄い授業になるので注意が必要です。

具体的には次のような場合、学びが薄くなると感じています。

重要単語や、公式を埋めていく形式にしてしまっている
理由→ 生徒がそこだけ覚えればいいと考える。また、教員が空欄の答えを書くときだけ授業に参加するようになり、その前後の話を軽視するようになる。生徒が間違えて写す場合があり、そこが重要なところだったら致命傷になる。

教員側でまとめのページを作ってしまっている
理由→ 生徒がそこだけを覚えればいいと考える。前述の『結論の前後の話を聞かなくなる』のさらに規模が大きいバージョンがおこる。

一方で、生徒に伝える情報を板書より肉厚にできる、生徒が板書を写す時間が短くなるので演習や、グループワークの時間を作りやすい。
その上で、穴埋めという作業は、参加のハードルが低い作業なので、集中が切れた生徒を授業に引き戻すチャンスとなる、などのメリットがあります。

3. 穴埋めのないプリント

穴埋めのないプリントとは、つまりは教員のオリジナルのテキストです。検定教科書はプロセスの読み取りが難しかったり、具体例が少なく初学では読みづらいので、そこをフォローしたテキストを作ります。

 補足
誤解がないように補足をすると、高3からは検定教科書を常に見返すように指導するべきです。検定教科書は、必要なことが全て簡潔にまとめられている、素晴らしい指導書になります。一度勉強を終えたら必ず1周以上は検定教科書に目を通しておくべきです。

この形式は、生徒が間違えて書き写すことはない、板書を写す時間を省略でき、演習やグループワークの時間を作れる、必要な情報を削れずに全て渡せる、というメリットがあります。また、このプリントへの生徒の書き込みは、自分で感じた疑問や、教員の発言のメモになるので有意なものになりやすいです。

逆に、渡す情報が多くなりすぎて、生徒が消化しきれなくなったり、自分で考えることがなくなるということも起こりがちなことに注意です。また、色による工夫がしづらい、生徒が作図を練習する機会が少なくなりがち、プリントを作るのが大変、というデメリットもあります。

4. 筆者の作ったプリントの例

私はこのような特徴を踏まえて、

12(中学理科)穴埋めプリント
3~高1前半(物理基礎の放物運動くらいまで)ノートか穴埋めプリント
1後半~高3(物理基礎の力以降)穴なしプリント

の使い分けをしています。


中学物理は、穴埋めをしていく形だと、内容が薄すぎて学びの意義が感じられなくなる傾向があります。また、高校よりも実験ベースで学ぶことが多いかと思います。
そこで、穴埋めを最低限に絞り、実験の結果予想や、観察結果や考察を文章にさせることをメインにしています。最初は間違えることを不安に思い、書き始められない生徒も多いですが、だんだん慣れてきて書けるようになってきます。

中学物理で配布しているプリント例
(掲載した画像のページより前に、OPPA〜ワンペーパーポートフォリオ〜と呼ばれる全体のまとめページも生徒に配布しています。そちらをご覧になる方はこちらのpdfから)


高校物理の始めでは、まだ穴埋めなしだと授業に集中できない生徒も多く、作図が重要であることを実感してもらう必要があることから、ノートか穴埋め型のプリントを使います。
放物運動までの範囲では生徒に伝えておかなければいけない情報は少ないのでノートで情報不足になることはありません。
(プリントの全体をご覧になる方はこちらのpdfから)

書き間違えて欲しくないような重要なところは穴にしません。


力の分野に入ってからは、穴なしのプリントを使用しています。年齢も上がり、穴がなくても話が聞けるようになってくることと、渡すべき情報が増えること、実践演習がものをいう分野に入っていることなどから、穴なしのプリントが適しています。
(プリントの全体をご覧になるにはこちらのpdfから)

この例を見ても、情報量が多くなりがちだと実感できるので、穴埋めのないプリントには、本当に注意が必要だと思います。


今回は、授業の形態に関して、自分なりの考察をまとめてみました。少しでも参考になればと思います。長い文章になりましたが、お読みいただきありがとうございました。


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