【大学受験】難度別オススメの参考書【高校物理】

高校物理の難度別参考書を紹介したいと思います。オススメの判断は、使用した生徒の成績の変化や、自分なりの分析などから総合的にしています。

以前、難度別にオススメの問題集を紹介しましたので、問題集を探している方はそちらの記事もどうぞ。

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1. 問題集と参考書の違い

オススメを見て行く前に、問題集と参考書の違いを確認しておきましょう。

問題集とは文字の通り、問題を集めたものです。原理の説明や、公式の導出などが目的の本ではなく、演習のための本です。

参考書とは原理の説明や公式の導出など、授業の代わりになる内容が書かれているものです。1から勉強し直したい時や、問題集を進める際のサポートブックとして使用するものです。

今回は参考書についてまとめます。

2. 受験生向け おすすめ参考書

受験生にオススメの参考書をレベル別に並べると次のようになります。

東大・医系・東工大レベル なし
難関国立・難関私大 なし
有名国立・私立・センターレベル

大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本シリーズ
[力学・熱力学編][電磁気編][波動・原子編]

物理が根本的に苦手な人 宇宙一わかりやすい高校物理シリーズ
(力学・波動)(電磁気・熱・原子)

 

 補足 勉強に必要なのは参考書よりも問題集

上に書いた一覧はすごくヘンテコなものに見えますが、そもそも参考書をレベル分けしていくのが不適切かと考えています。
参考書の役割は『授業の内容がわからずに独学で問題演習が行えない』という人が授業の代わりに基礎から再学習するためのものです。

なので、東大、医系、東工大や難関大に向かって順調に勉強に取り組んでいる受験生にとっては不要なことが多いのです。そのような受験生に必要なのは問題集です。

どの志望校を掲げていても『学校の先生との相性が悪くて物理の授業がわからない』という人は必ずいると思うので、そういう人には参考書が救いの手になるでしょう。
おすすめは『面白いほどわかるシリーズ』です。

面白いほどわかるシリーズ

実際に、授業が合わず困っている生徒は、この本で順調に独学を進めていました。1周目ではじっくりとストーリーを読み、いきなり問題に立ち向かわないことが大切です。うわべだけでない理解を身につけましょう。

表紙がちょっと前の時代の萌え萌えイラストなので手を出しづらい人という人もいますが、カバーを取れば硬派な表紙に変わるので安心して購入しましょう。

宇宙一わかりやすいシリーズ

こちらの本は、イラストは大きめに数学的な技法が少なめに、書かれています。
本当に物理がどうにもならなくて、面白いほどわかるシリーズを読むのも辛い、という人が、ちょっとでも物理アレルギーをとるために有効な本になります。数学的なことをカットしている分、これだけで受験に向けた勉強が済むものではないので気をつけましょう。

参考書が終わったら体系物理へ

参考書で物理の基礎を身につけたら、問題集『体系物理』を解くことをおすすめします。
体系物理はレベル的に基礎7割、応用3割くらいの問題集です。問題文が読みづらい、解説が悪い、など気になる点はありますが、見逃しがちな概念を問う問題、導出問題などがたくさん掲載されています。
参考書は上手に整理されすぎており『分かったつもり』になっていることも多く、理解を自分のものにするためのステップとして、文章が読みづらい体系物理はベストな問題集かと思います。
解答が良くない部分は、それこそ参考書を頼りに解いていきましょう。

3. 受験生におすすめできない参考書

物理のエッセンス

大大大ベストセラーで、支持者も多い本ですが、おすすめできない参考書です。理由は以下の通り。

この本がおすすめされるポイントは『解法が素早く習得できる』『本が薄くてモチベーションが上がる』という点が多いです。しかし、薄さは『問題を十分な量掲載していない』『テクニックのみをを簡潔にまとめすぎている』という2点により成り立っています。
特に問題に関しては、学習していく上で効率の良いステップでの配置になっていないと感じます。
物理のエッセンスを使っている生徒の多くは、『物理が苦手だ』と言い続けて受験を迎えています。

最近の入試問題の傾向的にも、解法をマスターするだけでは解けない問題が増えているので、おすすめできない度はさらに上がってしまいます。

4. 教員向け おすすめ参考書

受験生にとっては難しいけれど、内容が非常に有意義である本を『教員向け』として紹介します。

物理教室 (河合塾シリーズ) 四訂阪

河合塾の物理科の先生たちが、教科書になるように作ったのがこの本です。
メジャーな本ではスキップしがちが概念の深いところまで、きちんと簡潔に説明されています
参考書を読んでも解決しない『あれ?なんでだ?』と思うようなことを、この本で調べてみるとバッチリ書いてあるということが多いです。(Ex.コンデンサーに挟む誘電体の表面に起きる分極電荷についてなど)
普通の本ではスキップされがちなことが書かれています。指導に当たる前に知っておいて損はないはずです

鉄緑会 物理攻略のヒント

かの有名な東大専門の塾『鉄緑会』の出している本です。参考書というよりも、コラム集という方が正しいイメージです。生徒から出やすい質問(普通に授業を聞いているだけだとクリアできないところ)を紹介し、それに対する回答をしていく構成の本です。
どんなところで生徒が間違えがちなのか、そしてその理由はどこにあるのか、というのがわかります。また、問題を解くだけなら気にならないような細かい概念についても言及しているので、授業のクオリティを上げるのに必ず役立つ本です。

物理のエッセンス

受験生におすすめできないと紹介をした本ですが、シンプルに解法をまとめている本なので、情報を削いで簡潔に伝えるヒントがこの本に詰まっています。教える側にある人にとって、知識の整理し、授業が情報過多になるのを防いでくれるとても有用な本といえます。

5. まとめ

受験生向けと教員向けで、参考書を紹介しました。
読んだことがない本があれば、ぜひ手にとってみてください。

 


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学びのプロセスをひとりで追体験できる参考書。
詳しい解説と適切な問題配置で深い概念まで習得でき、初学から入試レベルまで対応可能です。


お手にとっていただけると幸いです。

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