教育現場にSDGsを取り入れている学校が増えています。
私の勤めている学校でもSDGsをテーマに探究活動を行いました。
SDGsとは何か、SDGsと教育現場の相互作用は?など、勤務校での取り組みを紹介しながらまとめていきたいと思います。
1. SDGsとは
SDGsはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、「えすでぃーじーず」と読みます。「エスディージーエス」と読む人がたまにいますが、間違えないようにしましょう。
SDGsは2015年9月に国連で開催されたサミットで採択された国際社会共通の目標です。ものすごく噛み砕いて表現すると、
よりよい世界にするために、世界全体で目指していきたい目標
のことです。具体的には以下の17個のゴールとして掲げられています。
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画像の出典
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/
例えば、4番「質の高い教育をみんなに」に関して、子供が労働をしないと生活ができない国はもちろんのこと、日本国内でも経済的な理由で教育を十分に受けられない子供達がいます。そういった課題を解決していくことが目標になっています。
他の例としては、14番「海の豊かさを守ろう」に関しては、海洋プラスチック問題などが話題になっていますね。
これらのゴールに関して調べていくと、他国にも目を向けた大きな視野での課題や、日本国内に目を向けたもの、自分の住む地域に目を向けたものなどがあることがわかり、SDGsは大小どんな視野でも向き合うことができる目標であることがわかってきます。
2. ゴールはつながっている
17のゴールにカテゴライズされていますが、17のゴールはいろいろなところでつながっています。例えば
4番「質の高い教育をみんなに」で、女性が教育を受けられない国の課題に注目したら、5番「ジェンダー平等を実現しよう」とつながり、子供が労働してしまう環境に注目したら9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」などとつながってきます。
そこで、17の目標をさらに大きく4つに分類して、以下のように表現することもあります。SDGsウェディングケーキと呼ばれます。
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画像の出典 http://sdgs-shibuyaku.com/sdgs/
SDGsウェディングケーキのポイントは主に2点です。
ポイント① SDGsは環境、社会、経済の3要素の調和がとれて達成できるものである。
ポイント② 環境→社会→経済という地盤の流れがある。
ポイント① 環境、社会、経済の3要素の調和
例えば、陸の豊かさを守るため、海の豊かさを守るため、今私たちが使用している文明を捨てていったらどうなるでしょう。自然は守れますが・・・
画像の出典
http://bbs.jinruisi.net/blog/2013/12/1181.html
このような生活に戻っていくでしょう(縄文時代のイメージイラスト)。
このような生活にもはや我々は戻ることはできません。
自然を守りつつ、経済をうまく発展させたとしても、社会性を大切にできなかったら
画像の出典
https://knk.or.jp/special/sp180612/
豊かに暮らす人がいる反面、差別を受ける人や、労働する子供達、犯罪率が上昇した社会になってしまいます。
では、子供達が労働をしなくて住むように、経済が大きく発展し、全ての人が差別を受けることがないような豊かな富を手に入れたとします。
しかし、それが自然を無視して達成できた発展であったら、
画像の出典
https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201810_post_18325/
このような場所が至る所にあるような世界になってしまいます。
環境、社会、経済の3つの要素をバランスよく維持しないといけない、ということがSDGsの1つのポイントになります。
ポイント② 環境→社会→経済の地盤の流れ
ウェディングケーキの配置と、リングの大きさは、3つの要素の関係を示しています。
適正な環境を保てたならば、豊かな社会を築くことができ、豊かな社会が築かれたら高度な経済に発展させることができる、その上で世界全体でパートナーシップを結ぶことができる。
このような階層構造になっているというメッセージが含まれているのです。
3. SDGsを教育に持ち込む
SDGsは広い規模で取り組む活動もあれば、小さい規模で取り組むことのできる活動もあるので、どの世代、どの立場の人でも活動することができます。もちろん中高生でもできることがたくさんあります。中高生だからできること、と言った方がいいかもしれません。
しかし、日本の学生は、学校という非常に狭い社会の中で活動していて、いざ社会に出るのは大学を出てから、という人が多いです。
そこで、中高の段階からSDGsに触れることで、早い段階で社会への展望を持ち、自分で意思決定のできる大人になるステップを踏むチャンスになると思います。
そもそも、世界でどんなことが問題になっているかを、中高生は授業で知ることはあまりできないのです。SDGsをテーマにそれらを知ることは非常に有意義でしょう。
また、社会を知り、社会への展望を持つきっかけになるので、キャリア教育にもつながります。
大学選びを、得意教科からの選択、偏差値での選択とするのではなく、大学で何を学びたいか、大学を出た後、どのような分野で活躍したいか、という視野で選ぶきっかけになるでしょう。
SDGsは生徒と社会をつなぎ、かつキャリア学習にもなる題材と言えます。
4. 編集後記と次回予告
今回の記事を第1回とし、私の勤めている学校で1年間かけて行なった、探究×SDGsの取り組みをまとめてみよう筆をとりました。
なかなか文章がまとまらず、読みづらい文章になってしまいましたが、ひとまず第1回「SDGsとは何か~中高生が触れる意味~」お読みいただきありがとうございます。
次回は、「最初にどのように生徒にアプローチしていくか」をテーマに書いていこうと思います。