Googleフォームで公開中の『スマホでできる小テスト』の解説ページです。一度解いてみてからの学習に活用してください。
今回は単振動の分野です。
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まだ受験していない人はその1から受験しましょう.
問題1 単振動のグラフ
天井にばねを接続し,物体をくくりつけ,静止させた.静止した点からさらに少しだけ物体を引き下げ,静かに手をはなしたところ,物体は単振動を行った.静止していた点を原点O,手を離した瞬間を$t = 0$とする.原点Oからの変位$x$,速度$v$,加速度$a$と時間tの関係を示したグラフをそれぞれ選べ.ただし,上向きを正とする.
解答 変位$x$:エ 速度$v$:ア 加速度$a$:ウ
変位は最初,負に最大の点からスタートしているので,-cos型.よってエ.
速度は最初,0から始まり,正の速度を得るので,+sin型.よってア.
加速度は最初,正に最大の点からスタートしているので,+cos型.よってウ.
単振動のグラフを書くときは,$t = 0$の時の分析が鍵!!
中心での特徴・折り返し点での特徴を,頭の中で動画としてイメージできるようにしておけばグラフも書きやすくなる.
問題2 単振動の周期
単振点Oを中心に点A,B間を周期8.0 sで単振動をしている物体がある.AからBに達するまでの時間と,BからOに達するまでの時間をそれぞれ求めよ.
ア. 5.0 s
イ. 4.0 s
ウ. 3.0 s
エ. 2.0 s
オ. 1.0 s
カ. 選択肢に適切な解答はない
解答
AからB:イ
BからO:エ
単振動での時間に関する問題は,『距離÷時間』や,等加速度運動の式では求めることが できない.$\frac{T}{4}$ごとに対称性のある運動を行っているので,それを活用する.
(1)は$\frac{T}{2}$なので4.0 sでイ
(2)は$\frac{T}{4}$なので2.0 sでエ
となる.
問題3 単振動の振幅
10 kgのおもりをバネにつけ,天井から吊り下げたところ,床から1.0 mの高さで静止した.おもりを卵のすぐ上につくようにばねを引き下げて手を離すと,重りは引き上げられ,ばねの縮みが最大になったところから再度落下する.この後,どうなるか適切なものを答えよ。
ア. 卵のまぁまぁ上の位置でおもりは止まる
イ. 卵ギリギリの高さまでおもりが落ちてくるが、卵には当たらない
ウ. 卵は割れてしまう
解答
卵のすぐ上で手を離すと、そこで$v = 0$となり、そこが単振動の折り返し点となる。
つまり、手を離した位置までしか物体は落ちてこないので、卵のぎりぎりの高さまでは落ちてくるが、衝突はしない。
よってイ。
ちなみに最初に静止していた床から1mの高さの点が振動の中心となる。
問題4 単振動のエネルギー
なめらかな面上で一端を固定したばねにおもりをつける.おもりが静止していた座標$x’$ から,座標$x_0$までばねを伸ばして手を離したところ物体は単振動を行った.弾性力による位置エネルギー$U$と座標$x$の関係を示した$U−x$グラフを選べ.ただし,縦軸の0がグラフの原点とは限らないとする.
解答 オ
単振動ではいろいろな式が出てくるので,どれを使っていいかわからなくなることがあるが,きちんと『振動中心』や『折り返し点』のことを整理できれば,たいていのことはエネルギー保存則で十分計算できてしまう.エネルギーに関する考察をしてみよう.
最初に静止していた点$x’$は,力がつりあう点であり,そこは自然長であり,振動の中心となる位置となる.そこでは弾性力による位置エネは0となる.
そこから伸びや縮みがあると,$\frac{1}{2}kx^2$のエネルギーを持つので,エネルギーは振動の中心から離れるほど,2次的に増えていく.それを示したグラフはオ.
振動の中心で最も位置エネルギーが小さく,その分運動エネルギーが最大になっているというイメージを持っておこう.
問題5 単振動のエネルギー
前問と同じモデル において,運動エネルギー$K$と座標$x$の関係を示した$K−x$グラフを選べ.ただし,縦軸の0がグラフの原点とは限らないとする.
解答 オ
折り返し点で0,中心で最大,ということから,エか,カということはわかる.
しかし,運動エネルギーは$\frac{1}{2}mv^2$で示され,この式は$x$の関数ではないので,この公式からグラフを特定するのは難しい.そこで,力学的エネルギーの保存を手がかりに考える.
力学的エネルギーが保存することから,弾性力による位置エネルギーが減った分だけ運動エネルギーが増える,という関係から考えて,前問の解答であるオの変化に対応して変化しているようなグラフが正解になる.それを示したグラフはエ. ちなみに力学的エネルギーを示すグラフは横一直線で常に一定であるグラフになる.
振動の中心で最も位置エネルギーが小さく,その分運動エネルギーが最大になっているというイメージを持っておこう.