第1回で変形労働時間制についてと、教員の労働実態について、
第2回で変形労働時間制を教育現場に持ち込んだときに起こることについて、それぞれ記事にしました。
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目次
1 導入に向けての準備
いざ導入の前に、以下のポイントを理事側に要求しましょう。
[box class="green_box" title="要求したいポイント"]① 36協定を結ぶ② 勤怠管理の仕組みを整備してもらう
③ 何が残業代の発生する業務に当たるかをはっきりさせる[/box]
① 36協定を結ぶ
変形労働時間制にするということは、今まで裁量労働制だったところから給与の仕組みを変えるということになります。
裁量労働制とは、実労働時間ではなく短い時間働いても、長い時間働いても、規定の時間働いたとみなす制度です。みなし時間と言われたりもします。この制度をとるので、教員には残業代が出ないのですね。
裁量労働制じゃなくなるということは、規定の時間を越えたら残業代をきちんと支払われなきゃいけません。すごく簡単にいうと、残業代をきちんと支払う約束をしてもらうのが36協定と言われます。変形労働時間制をスタートさせる前に36協定を結びましょう。
② 勤怠管理の仕組みを整備してもらう
きちんと労働時間を管理してもらわないと、残業代の支払いの手続きがいい加減になるので勤怠管理の仕組みを整備する必要があります。大抵の教育の場では「出勤簿にはんこ押す」だけで1日の仕事の記録は終わりです。時間管理なんてあったものではないんですね。
また、これは導入の1年前から行えたほうがよいです。変形労働時間制で繁忙期、閑散期をきちんと分析して時間設定を綿密にしてもらうことが必要なのです。
③ 何が残業代の発生する業務に当たるかをはっきりさせる。
例えば次のようなものは残業や時間外労働として認められる可能性が高いものです。
・会議
・休日の部活動
・休日の広報活動
逆に認められない可能性が高いものは次のようなものになります。
・授業準備
・資料の印刷
・小テストや提出物の採点
かなり理不尽ですが、個人での仕事は残業として認められないでしょう。部活で6時まで拘束されたら小テストの採点などは必ず6時以降になるのですが本当に理不尽です。でも仕方ないです。
仕方ないとは思いつつも、制度を導入する前になるべく要求をして、残業と認めてもらえる仕事を増やすことと、現状の労働内容を理事側にわかってもらうためにも、何を残業とするか問題を話し合う時間を取りましょう。
2 導入をしてから取り組むこと
導入をしてから取り組みたいことは「見直し」です。主なポイントは以下の2つ。
① 労働時間の設定が適切だったかの見直し
変形労働時間制を導入してからも、気をつけなきゃいけないことがあります。それは設定した労働時間が適切だったかを見直すことです。
一回スタートした後は、ずっとほったらかしにしてしまうのも教育現場あるあるです。でもスタートしてからわかることや、行事の変更などがあるはずなので、ずっと同じ時間設定でやっていくのは良くないでしょう。
特にスタート時は毎年見直しを行なっていきたいところです。
② 仕事がきちんと分散するような人事
うまく繁忙期と閑散期を見極め、時間をやりくりしても、10時間の中に仕事が収まり切らないことも多いです。
前の記事の労働時間のデータが根拠です。(私個人の能力が低いという説もありますが………)
学校全体としては「行事を減らす」とか、「部活の日数に制限をつける」とか、「減らせないならきちんと残業としてカウントしお給料に反映する」とかが絶対必要です。理事側にしかメリットのない制度を導入しようというのだから、交換条件としてこういったことを教員側から要求していくのが良きかなと思います。
それでも仕事を減らせないのであれば、仕事をきちんと分散し誰かに集中しないような人事にしてもらうように要求をしましょう。
「担任+分掌+教科主任+運動部+困った時に頼りにされる何でも屋」みたいな先生がどの職場にもいると思います。そういう先生は、管理職からも頼りにされてしまい、人事の時点で仕事をたくさん振られてしまいます。そういう先生が10時間以内で働き切れるわけがないので、少しでも他の先生にも仕事が分散されるような仕組みを作りましょう。
実際に気を使ってくれるかはわかりませんが、管理職に訴えていくしかないですね・・・
終わりに
3回に分けてまとめてきた変形労働時間制のお話でした。
自分の経験でさらにノウハウが増えたら追記をしていきます。
導入の動きのある他校の先生の参考になればと思います。