【先生向け】高校物理のおすすめ書籍【2021年版】

あけましておめでとうございます。2021年になりました。
年の初め、学校にとっては2学期と3学期の間で、特に何かの節目ではないけれど、それでも心機一転して新しい目標を立てやすいタイミングです。

そこで今回の記事では、物理教員向け「おすすめ書籍情報」をまとめて、先生方の読書目標の参考にしていただければと思います。

今回紹介する本
  1. 授業の組み立てをブラッシュアップできる本
  2. 生徒実験の組み立てに役立つ本
  3. 授業中の雑談のネタが見つかる本

本を読むと、必ず自分の授業に何かしらの変化が起きます。その変化が、より良い授業の発見に繋がるので、ぜひ本を読むことを大切にしてみてください。

1.授業の組み立てをブラッシュアップできる本

まずは授業、特に座学の構造・展開をブラッシュアップさせられる本です。

内容(「BOOK」データベースより)

物理教育研究で得られた成果から、学生が陥りやすいつまづきや誤概念を示し、効果的な授業や演示実験、アクティブ・ラーニング、試験問題例が提案されている。方程式を解く方法ではなく、物理現象の本質を教えるために、「物理学入門」を20年以上担当してきた著者からのヒントが詰まった一冊。

すだえ
導入時、生徒と教員の持つ前提知識の差によって、本質的な理解が遠のくことがよくあります。その差を埋めるための実践事例が盛り沢山です。
この本1つで授業がガラッと変わります。

内容(amazon・商品紹介より)

物理の内容を分野ごとに章立てし、各分野ごとに筋道を通した理解ができる。入試物理をターゲットにしながらも、“物理的な見方・考え方”が自然に身につくよう論理性を重視。基礎から身につけたい人から応用力を養いたい人まで、実力に応じて使いこなせる構成。

すだえ
河合塾の先生が「物理の教科書を作ろう!」という意気込みで作られた本。
一般の参考書よりも深いところまで、説明がなされています。
なんとなくのテクニックだけで済ましてしまっていた部分もきちんと概念から理解することができます。
私は授業案をまとめたあと、教えもらしがないかの確認などに使っています。

内容(amazon・商品紹介より)

どのように工夫すれば学生が頭を使ってレポート課題に取り組むのか?これまで理論的には問われてこなかったこの問いに、「レポート論題」、「授業設計」、「評価」の各観点から答える渾身の書。特に「剽窃が困難となる論題」についての分析は、これまでのレポート課題のあり方を根本から問い直す。

すだえ
題材はレポート課題ですが、どのような問い方をすれば生徒が頭をフル回転してくれるか、「生徒への指導の段階順に適切な問い方がある」ということがベースとなり書かれています。
授業内での発問の仕方など、この本から得られる工夫のポイントがたくさんあります。

2.生徒実験の組み立てに役立つ本

実験は準備や事後評価がとても大変ですが、教育効果はとても高く、なるべくたくさんやってあげたい授業です。せめて組み立て時の負担が減るように、参考になる本を手元に置いておくことをおすすめします。

内容(楽天市場・商品紹介より)

内容詳細:目次:1 力学(フックの法則/ 直線偏光板を用いた作用反作用の実験 ほか)/ 2 熱(圧気発火器(断熱圧縮)/ ビー玉スターリングエンジン ほか)/ 3 波動(水波の実験/ ウエーブマシンによる実験 ほか)/ 4 電磁気(ストローを用いた静電気の実験/ 風船、塩化ビニルパイプ、アクリル板を用いた静電気の実験 ほか)/ 5 原子(真空放電/ 陰極線 ほか)

すだえ
まず、紹介されている実験レパートリーの豊富さがすごい。
実験をすべきタイミングや、用意すべきレポート用紙、必要な器具など、授業の組み立てに役立つことが詳細にまとめられています。
書かれている実験を全て行えるカリキュラムを組めたら、どんなに素敵だろうか、と思う本です。

内容(「MARC」データベースより)

物理実験書のイメージを変えるバイブル的な本。奇想天外で、本質に迫り、生徒の意表をつくおもしろい実験を、イラストとともに紹介する。新生出版1988年刊の改訂版。

すだえ
値を求めて考察するタイプの問題ではなく、「体験」を大切にした実験が多数紹介されています。1時間丸々は実験の時間が取れないけれど、体験はして欲しい、というときに参考になる本です。第3巻まで出ています。

3.授業中の雑談のネタが見つかる本

授業中の雑談は生徒の興味関心を刺激して、授業への参加率も上がります。教員が思っている以上に雑談が生徒に及ぼす影響は大きいです。

内容(「BOOK」データベースより)

花の電場をとらえるハナバチ、重力に逆らうネコ、偏光で方向を知るアリ、激しい雨でも飛べる蚊、航空会社も注目するシャコ、水滴を最大量、飛ばせるイヌ、三角測量がお得意のゾウ、量子力学の専門家、スズメバチ、生物と物理をつなぐ新発見を一挙紹介!

すだえ
タイトル的には中学生でも読めそうな、自然界で存在する物理学の紹介のように感じるかもしれません。しかし実際の内容は高校生向けです。
ハチは自身に生えている毛が、花の帯びている電場に反応することで花の位置を知る。ここまでなら中学物理ですが、なぜ花が電場を帯びているのか、そこまで突っ込んでいる本なので、高校生に向けて話したい内容になっています。

内容(出版社からのコメント(2012年2月号))

小惑星「リュウグウ」までの遠い旅をしてきた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が,6年ぶりに地球に帰ってきました。「はやぶさ2」の打ち上げから帰還まで6年の軌跡を,専門家とともに振り返ります。また近年,言葉を極めて巧みに操るAIが登場しています。人間と区別がつかない自然な文章を作るAI,言語理解のテストで人間を上回るAIなどです。その背後には,いったいどんな技術革新があったのでしょうか。言葉を持ったAIの,現在と今後の姿を探ります。

すだえ
科学雑誌は日経サイエンスがおすすめです。掲載されているのは学術論文なので、中高生が読むのは難しいですし、内容も基礎概念と繋がるものは少ないですが、その高度さが高校生には響きます。
「大学に受かるために物理をやる」という受験一辺倒のものではなく、「物理が楽しいから物理をやる」という気持ちを持つにはサイエンスに書かれているような内容を、うまく噛み砕いて生徒に伝えていくのがおすすめです。

4.まとめ

読んでみようかな?と思える本はありましたでしょうか。

  1. 授業の構造・展開をブラッシュアップできる本
  2. 生徒実験の組み立てに役立つ本
  3. 授業中の雑談のネタが見つかる本

今回紹介した本は、厳選に厳選を重ねた、どれも授業を変えるきっかけになる本です。ぜひ手にとってみてください。

他のおすすめの本の紹介ページも作りましたので、よければそちらもご覧ください。

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