【先生向け】部活動指導のポイント

若手の先生や、未経験種目の部活を持つ先生向けの話です。私は未経験部活、経験部活、運動部、文化部、全て経験し、いろいろな失敗を積み重ねてきました。その中から得られた部活動指導のコツをまとめます。

すだえ
未経験種目の部活などで困っている人ほど、役に立つ事例だと思います。
ぜひ最後までお読みください✨

1.部活動指導のつらいところ

部活動指導は、学校の仕事の中でも、かなり負担が大きい部類のものです。まずはそこを共有しましょう。

時間的・体力的につらい点

・授業準備に使える時間が減る
・休日出勤が圧倒的に増える
・教科、クラス以外の生徒対応・保護者対応が増える

精神的につらい点

・平日は定時外での労働なのだけれど手当が出ない
・ひどいところだと休日出勤も手当が出ない、出たとしてもほとんどの学校ではスズメの涙
・未経験部活だと生徒が教員を下に見ることがある

こんな要因で、部活指導はとてもつらいもので、人によっては教職を離れるきっかけにまでなり得ます。

しかも、これらの点のほとんどは個人の頑張りでは改善出来ず、学校全体とか、国全体で変えていく流れができないと変わらなものです。

つらいですが耐えるしかないのが現状です。

そんな部活動ですが、せっかくやるなら生徒の成長の助けになれた方がいいですし、顧問と生徒の関係も良好なものが築けた方がいいです。

そしてそれに必要なことは、経験の有無や、教員のカリスマ性ではなく、たった一つのある習慣だと、私は考えています。

2.すべきことは一つだけ

経験の有無にかかわらず、すべきことはたったの一つです。それは

活動を見にいくこと』

『見にいくこと』というのは本当に文字通りにただ見にいくだけです。

専門的な指導もしないし、特別な称賛や叱責もせず、ただ見に行きます。

これは仮に経験のある部活だったとしても同様で、特に就任直後だった場合はひとまず指導はしない方がいいです。

見にいくだけで得られること

専門的な指導がなかったとしても、毎回きちんと部活を見に来てくれる顧問に対して、生徒はどういう印象を持つでしょうか。

専門的な指導もできないのに、見に来ても意味ないよね。

こう思う生徒は絶対にいません。断言します。逆に教員はこう思いがちですね。かといって

専門的な指導ができないのに、いつも見にきてくれてる!他の仕事もあって忙しいのに来てくれるなんて、うれしい!!素晴らしい先生だ!!

こう思ってくれるかは微妙です。学校の雰囲気やレベルによります。

一番多い印象は

あの先生はいつも見にくるなぁ

これくらいです。

でも、その印象があるだけで

先生
・みんな部活頑張ってるね
・最近時間にルーズになってない?
・提出物とか出してから部活にきてる?

そんな声かけをしたときの受け止められ方が全然ちがいます。ちゃんと聞いてくれます。

また、家庭で

〇〇先生は部活見に来てるよ

こんなことを保護者にちらっとでも話していたら、保護者との関係も断然良くなります。保護者と関係が良ければ、トラブルがあった際の対応もスムーズになります。

逆に全然部活を見に行かずに、

あのひとは全然部活に来ない

そんな印象を持たれていたら、どんなに生徒を想った声かけでも、どんなに正論で正しい指導だったとしても、

私たちのこと何も知らないくせに

と受け取りを拒否されます。

褒める声かけは空虚になり、注意の声かけは煩わしいものになってしまいます。

『見にいく』というのは、生徒、保護者との関係づくりのためのアクションなんですね。

関係ができた後は、声をかければ受け取ってくれるし、未経験でわからないことも生徒がフォローしてくれるようになります。

『見にいくこと』は部活指導で最も重要なアクションです。

3.見に行くだけで得られる他のこと

『見にいくこと』には、関係づくり以外にもいろいろな効果があります。

先生
・あの子は自信を持ってプレイしているな
・あの子はつまらなそうにプレイしているな
・あの子は部活を休みがちだな
・この部の先輩後輩の関係はこんな感じなんだな

などなど。普段の教室ではわからない情報をキャッチできます。

そして、そんなバカな!と思うかもしれませんが、未経験の種目でも、生徒が上達した時、それがわかったりします

そんなふうに生徒を理解し、生徒が教員から見られていることを自覚していることで、初めて意味を持つ言葉が

先生
上手くなったね

という言葉です。必ずしも全員に響く言葉ではないですが、中々自信が持てていない生徒にそんな声かけをするのが顧問の一番の仕事かもしれません。

4.まとめ ~部活動のあり方は別の話~

ここまでの話のまとめ

・種目経験の有無は指導の成否にほぼ無関係、大切なのは関係づくり
・関係を作らずに、または作る前に、指導をしても生徒は受け取ってくれない
・関係づくりは『見にいくこと』を習慣にするだけで簡単にできる

* 経験している種目がであれば、『見にいく+種目の指導』で、より素早く関係を深められるのは事実ですが、いざやってみると、そんなに差はありません。普段顔を出さず、たまに来ては専門的な指導をするだけの人への信頼は0です。

これは一方で、このようなことを示しています。

生徒にとってプラスになる部活指導のためには、日常的に部活を見にいく、ということが必要である。

生徒が教科の質問に来ても、その時間は部活があるから明日でいい?と生徒と時間を調整しましょう。

教員同士の打ち合わせが必要なことがあっても、その時間は部活なので違う時間にしてください、と伝えましょう。

それらをしないと部活指導はうまくいきません。やりがちですが部活を見にいくことの優先順位を下げてしまうのは、思っている以上の負の影響があります。

教科指導も部活指導も平等な教員の仕事、部活は時間が空いているときにするものではない。こんな意識を持たないと上手くいかないのです。

任命されたからには、『見にいく』ことを大切にして、生徒に良い影響を生み出せる先生になれたほうが、生徒も先生も幸せです。

*補足

私個人の考えは、もっと教科指導にパワーを使いたいですし、部活指導をきちんとこなそうとした時、最も質が落ちるのは授業準備の部分だと思っています。

当然のように全教科、全教員に部活が割り振られ、特に若い先生に負担が大きい部活が回されるのは、日本の教育の質を下げる結果になります。

どうにか教科指導と部活指導をすみ分けられるようにしてもらえないかなぁ、と日々想いを馳せています。

国の偉い人が何かのきっかけでこの記事を見て、部活指導の現実をちょっとでもイメージしてもらえたらいいなぁ、そう思います。


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