2020センター物理の分析と感想です。2回に分けて書いていきます。
今回は、『全体について』『問題訂正について』『第1問』です。
全体的に易化
ここ数年、「教員から見たらわかっていれば解ける」という難度だけれど、「現役生にとってはよくわからない」となるような問題が多かったのですが、2020年の問題はとても素直だったように思えます。
いずれの問題も標準的で、大幅な易化といえると思います。
ズバリ!予想平均点は63点!
(昨年度の私の予想は、実際よりも結構高く見積もってしまいましたが今年はどうなるでしょうか。)
問題訂正について
今年の問題では、異例の問題訂正がありました。
解答には影響はないようにも思えますが、なぜこのような訂正があったか自分なりに分析します。
訂正しないといけなかった理由は簡単で、選択肢に( )がついていなかったからだと思われます。
選択肢の④〜⑨の式を訂正前の式に入れると、選択肢のmのみがλにかかることになります。なので、正しい式になりません。
選択肢の式に( )がついていれば、m以降の分数にもλがかかるので問題なかったはずですね。
一方で、設問者がλをもともと右辺に置いていた意図を考えてみます。
干渉を考えるときは経路差を基本に考えます。具体的には以下のように干渉式はまとめられます。
経路差が半波長の偶数倍なのか、奇数倍なのかを探ることで、2つの波が同位相で合流するか、逆位相で合流するかがジャッジできるのです。
そういった意味で左辺を経路差のみにすることに、物理的な意味があると私は考えます。皆様はどう考えるでしょうか。
第1問
ここからは、大問ごとに目についた問題をピックアップしていこうと思います。
このような図がよく出てくるのは、電気力線と等電位面を習ったときです。それを思い浮かべてしまうと泥沼だったでしょう。
電気力線を書く場面とは、全く違う状況設定です。
一方で、今回の状況設定である平行導線同士が及ぼしあう力の問題は、典型問題として受験生は必ず解いたことがあると思います。
しかし、その問題で磁力線について考察をすることはなく、受験生はこの問題を読んだ時に初めて磁力線について考えることになったはずです。
この問5に関しては、選択肢が均等な8分割であることが気になりました。衝突による物体の運動方向的に、直感で④の解答にたどり着いてしまいます。
例えばこんな選択にしたら、より受験生を惑わすことができたのではないかと思います。
見た目は美しくないですが、直感による解答ではなく、運動量の保存をベクトルで考えることができているか問える選択肢になるのではないかと思います。
やはり見た目が美しくないのと、45°の明言をしないといけないので、実際の問題のような選択肢の方が良いのかもとも思います。いかがでしょう。
次回は第2問〜第6問
一つの記事で、全問ピックアップすると、文字数がすごいことになるので、2つに分けることにしました。次回は第2問〜第5問で気になった問題をピックアップしていきたいと思います。