熱力学の分野でよく生徒がもつ疑問は「どんな時が等圧変化かわからない」というものです。これもトレーニングをすることできちんと習得できます。
1 定圧変化
次の操作をしたときにおこる変化で、定圧変化のものを全て選べ。
ア. なめらかに動くピストンを備えたシリンダーを水平において気体を閉じ込め、加熱したところ、体積が大きくなった。
イ. なめらかに動くピストンを備えたシリンダーを鉛直において気体を閉じ込め、ピストンの上におもりを乗せたところ、体積が小さくなった。
ウ. (イ)のシリンダーを加熱したところ、体積がおおきくなった。
エ. なめらかに動くピストンで区切られた密閉された容器内で、片方の空間を温めた。
オ. 気球の中の気体を温めた。
アとオは自由ににピストンが動く、自由に気体が行き来できる、ということから定圧変化といえます。
イとウは状況が似ているが、力のつりあいを使って気体の圧力を考えることができれば、きちんと区別ができます。
エの変化では、分けられた気体同士は同じ圧力だが、熱を加えているので、両方とも圧力が増える、という判断ができるかどうかがポイントになります。
2 P−Vグラフと温度
右のP-Vグラフで示される、A~Eの状態の気体を、温度が高い順に>、=を用いて並べ替えよ。
直接問われることはあまりないが、知っておくことで熱力学の得点の安定感がものすごくアップするテクニックがこれです。
PV=nRTの式より、P×Vが大きいほど、Tが大きくなるといえます。よってグラフの各点から縦軸、横軸に垂線をおろした時の面積が大きいほど温度が高いといえます。
それを比べて解答を導く練習をします。
3 正味の仕事
以下のPーVグラフで示されている6つの状態変化の曲線のうち2つを選び、最も気体のする仕事が大きくなるような熱サイクルを作れ。ただし、グラフの垂直の変化は自由におこせるものとする。
PーVグラフ上の変化で、右向きが正の仕事であり、左向きが負の仕事であるということを理解し、1サイクルでもっとも正味の仕事が大きくなる状況を考える問題です。熱サイクルの問題をエネルギー表を書くテクニックでこなす生徒が多いですが、グラフだけで正味の仕事の大きさをイメージできることが、断熱変化などが出てくる応用問題で生きてきます。
4 終わりに
今回は特に流れもなく問題を紹介しました。色々なシチュエーションがある熱力学では、流れを伴った出題には個人的になりにくいと思っています。
他の問題を参照する場合はSTUDYページへ。