光の屈折から1問、ヤングの実験から2問紹介します。
問題1 光の屈折
光軸に平行な光を凸レンズに照射したところ、図のように光が集まった。さて、レンズを水の満たされた水槽に入れ同じことをしたところ、やはり光は1点にあつまった。このとき、レンズから光が集まる点までの距離はどうなるか。
ア. もとよりレンズの近くになる。
イ. もとの距離と変わらない。
ウ. もとよりレンズの遠くになる。
この問題でのポイントは3つ
このような問題を通して、平行光線と一言でいっても点光源から出る場合は1本で、太陽などの大きな光源からでる場合は幅を持った平行光線となる、ということに気づかせます。また、レンズに突入した光線は全て焦点を通るということも合わせて押さえておきます。
レンズで光線が曲がるのは、レンズに入るときと出て行くときの2カ所で屈折が起きているということを意外と知らない生徒がいます。そのことをこの問題で学びつつ、曲面が精密に計算されることによって、初めて焦点が定まることを伝えたい問題です。
屈折の仕方を、屈折の法則公式だけで考えていると、この問題で苦労します。屈折と光の速度の変化が繋がっていれば考えやすいはずです。光の速度は
空気中>水中>ガラス中
という順番です。速度の差によって屈折が起こり、その差が大きいほど曲がりは大きくなるので
空気→ガラス の方が差が大きく、よく曲がる
水中→ガラス の方が差が小さく、曲がりは小さくなる
と関係をつかめます。
その結果、平行な光はより遠くで収束するとわかります。
問題2 ヤングの実験①
図はヤングの実験装置である。光源から黄色い単色光を照射したところ、点Oと点Aに黄色い線が現れた。その後、黄色に加えて赤い単色光も同時に照射したときの現象について、正しく説明しているものを以下の選択肢の中から選べ。
ア. 赤い光が点Oと点Aに現れる。
イ. 黄色い光が点Oと点Aに現れる。
ウ. オレンジの光が点Oと点Aに現れる。
エ. オレンジの光が点Oに、黄色い光が点Aに、赤い光が点Aよりも内側(点O寄り)に現れる。
オ. オレンジの光が点Oに、黄色い光が点Aに、赤い光が点Aの外側に現れる。
この問題は、
波長と経路差の関係、波長と色の関係
という物理的な理解と、
赤と黄色が混ざるとオレンジになる
という理科的な知識が複合された問題です。
理科的な知識に関しては物理の問題を解く際は必要のない知識かもしれませんが、センター第1問などで役に立つこともあるでしょう。
問題としては単純ですが、良い練習になります。
問題3 ヤングの実験②
図はヤングの実験装置である。スクリーンには●のところに明線が、○のところには暗線が現れた。光源の出す光の波長をλとして、A~Eのどこかの点に進む光を左の図に示した。図で示された部分の長さがのとき、2本の光線が進む点はA~Eのどれか。
(スリットとスクリーンの図はスケール(縮尺)が違う状態で書いているので、図の角度は答えの参考にならない。注意すること)
公式だけでヤングの実験や干渉を考えている生徒はつまずく問題です。
中央の点Oが経路差0で、そこから上にずれていくと少しずつ経路差が増えていきます。
経路差がλ/2の際には光は弱め合い、弱め合う条件としては経路差が一番短いということから考えれば、点Aが解答と求められます。問題2と合わせて出題したい問題です。
4 終わりに
光波の問題3問でした。波は同じ原理で複数の現象が出題されます。なので、1つ1つの原理の理解が深ければ深いほど楽になります。こういった問題を課すことで、原理の理解を促せると思います。