電位差という概念は、なかなか生徒に定着しません。小学校からの教え込みより、「高さの差」というイメージより「電池のパワー」というイメージで、直流回路を考える習慣がついているからです。
今回は「電池のパワー」ではなく「電位」で回路を考られるようになることを目的とした概念理解問題を紹介します。
1 問題 導線の電位
電流が流れている電球がある。電球に対して、右図のように導線をつないだとき、どうなるか。
ア. すべての電流が電球に流れる
イ. 半分の電流が導線に流れ、半分は電球に流れる
ウ. すべての電流が導線に流れる
エ.上記の中に解答はない
「導線中は電位の変化が絶対にないこと」
「導線に色をつけて電位のイメージをすること」
この2つの練習を行います。(下図参照)
2 問題 キルヒホッフ第2法則
同一の電球A、Bを用いて右図のような回路を作った。スイッチを入れるとどうなるか。
ア. どちらの電球も消える。
イ. 激しくAの電球の明るさが増す
ウ. 激しくAの電球の明るさが減る
エ. 激しくBの電球の明るさが増す
オ. 激しくBの電球の明るさが減る
カ. イ~オの中のいくつかの現象が同時に起こる
キ. 変化はない
生徒は直列、並列、という言葉が好きです。小学校から扱ってきているので、もはや家族のような安心感を持ってます。
しかし「並列だとかかる電圧が一緒」「直列だと電池のパワーが上がる」など、あまりに不正確な考え方となってしまいますので、この問題で考え方のレベルを1つ上げます。
下図のように、スイッチを入れる前も入れたあとも、スイッチの両端の電位は同じことを色分けで理解することができます。これは、教員からみたら当たり前なことですが、生徒から見たら直列?並列?と頭の中で言葉が飛び交い、混乱します。
3 問題 電位
以下の3つの回路中のA~F点を、電位が高い順番に、>と=も用いて並び替えよ。ただし、すべての抵抗の抵抗値は等しいとする。
並び替え問題で、電位の概念を理解してもらいます。キルヒホッフの法則の数値計算を練習した後にやりたいところですが、前問からの続きの流れでなら、計算練習をする前に出題してもスムーズに生徒は理解すると思います。
その際はグループークを、行い色々な考えを共有しあえるとよいです。
「比」という考えを出す生徒もいれば「Rが同じなら等しく分配」という考えを示す生徒も出るはずです。また、「並列のときにも電圧を分配」と間違えてしまう生徒もでるでしょう。それに1つずつ向き合うためのグループワークです。
計算練習が終わっているようなら、1人で何通りも考えを巡らせることができるようになっているので、グループワークにしないほうが良いです。
また、色分けは下図のようになります。
終わりに
いかがでしたでしょうか。この分野の問題は他にも出したい問題はたくさんあるので、STUDYページのプリントをぜひご覧ください。