放物運動の概念理解問題を紹介します。
問題1 放物運動の加速度①
鉛直上向きにボールを投げた。ボールが最高点に達したときについて正しいものを選べ。
(ア) 速度、加速度が0である。
(イ) 速度は0ではなく、加速度は0である。
(ウ) 加速度は0ではなく、速度は0である。
(エ) 速度、加速度は0ではない。
授業で習いたてのタイミングで行いたい問題です。速度と加速度の違いをきちんと区別して、正しい選択肢を選んでもらいます。また、図を用意しないことで、自分で図をイメージしてもらいます。
問題2 放物運動の加速度②
鉛直上向きにボールを投げ上げた。(a) ボールが最高点から手元に戻ってくる間、 (b) ボールに初速度を持たせて手から離れたあと、のうちボールが下向きの加速度gなのはどのときか。
(ア) (a)と(b)の両方
(イ) (a)のときのみ
(ウ) (b)のときのみ
(エ) (a)と(b)のどちらもちがう
問題1とつながりがあります。授業内で問題1をやって、小テストなどで問題2を扱っても良いでしょう。速度の向きと加速度の向きがあべこべになることもある、という点は、初習者にはなかなかイメージできないところだったりするので、定期試験までに1回は課すべき問題だと思います。
問題3 モンキーハンティング
ビルの柵にいる凶悪な犯罪者に直線的な狙いをつけた。そのビルは銃の射程圏内であり、銃からは初速度v0で弾が発射される。しかし犯罪者は、弾が発射された瞬間、地面に向かって飛び降りた。何が起こるか。
(ア) v0の大きさに限らず犯罪者に弾は命中する。
(イ) v0がある程度大きい場合、犯罪者に命中する。
(ウ) 犯罪者をとり逃してしまう。
モンキーハンティングに関して、直線的に狙いをつければ当たる、という事実だけを覚えてしまう生徒もいますが、このように聞くことで、当たるまでの数式計算を想起させることができます。その上で、地面に衝突するまえに水平距離を到達しきらなければいけない、ということを思いついてもらいたい問題です。
相対速度によるアプローチもついでにおこなってもいいでしょう。
問題4 斜方投射
戦艦から船Aと船Bに向かって砲撃するシミュレーションを行うと、下記のような軌道をとることが分かった。それぞれの船に向かって同時に砲撃を行った場合、どちらの船に先に命中するか。
(ア) A
(イ) 同時に衝突する。
(ウ) B
(エ) 解答には情報が足りない
第一印象として「情報が足りない」と思う生徒がいるかもしれません。
しかし、鉛直方向の情報により衝突までの時間の大小を考えることができます。
水平方向と、鉛直方向を分けて考えることの練習になります。
どちらの情報を足がかりに問題を解き進めるかが直感でわかるようになるにはこのような修行が必要です。
5 終わりに
放物運動に関する問題4問でした。ページ最下部の関連記事から、ほかの分野の問題もぜひご覧ください。