コロナウイルスによる休校での生徒への影響と対応

202032日より全国の学校に、一斉休校を要請するという安部首相の声明がありました。各校、対応に追われたと思いますが、私の勤務校での対応、実際の生徒の反応、休校中の生徒への声かけをまとめたいと思います。

1. 本校での対応

私は私立の中高一貫校に勤めてます。そんな私の学校では、

2/29(土)に終業式
そのまま春期休業
4月から学校再開

この期間、学校への登校、部活動等一切の中止

という対応になりました。
それに伴い、学年末の定期試験は中止となりました。

卒業式は規模を縮小しての実施。在校生からの歌は中止で、卒業生と、送辞を行う在校生代表1名のみの登校となります。

教員の離任のお知らせも、落ち着いて休校期間に入るために、4月になってからの通達、ということになりました。

2. 生徒の反応

時系列に沿って、生徒の反応をまとめます。

228日(金) 朝のHR
今後の学校の動きを説明

: 今日と明日の授業は中止です。

生徒: えええええええ!うおおおおおおおお!(歓喜)

: 来週から休校で次の登校は4月です。定期試験は中止です。

生徒: うおおおおおお!やったーーーーーー!うひょーーーーーー!きゃーーーーー!(歓喜・驚き)

冷静になった生徒: え、このクラスあと2日で終わりなの?え、やだ。

: 卒業式は規模を縮小しての実施で、歌はなくなりました。

生徒: え、卒業式に参列できないの?先輩に歌を贈りたかった

大まかに書くとこのような伝達になりました。
やはりテスト勉強には、非日常によるストレスが伴いますので、なくなると嬉しさが押し寄せてくるようです。
その後、冷静になり様々なお別れの機会が突然にやってきたことを理解し、感情を処理できていない様子でした。

3. 出会いと別れの大切さ

学生の頃の出会いと別れは、大人のものよりも重く、心に与える影響は大きいと思います。
入学式、卒業式、離任式などで、それらを大きな儀式として扱うのは、それだけ出会いと別れが生徒の成長の一端を担っているからだと言えます。
今回の休校の措置はそれが大きくスキップされてしまう事態です。

残された時間に、きちんとお別れをさせてあげる時間をとってあげたいですが、限界もあり、とても残念です。

教員の離任に関しての連絡ができないことは、その先生を慕っていた生徒にとっては特に大きなことで、残念でなりません。

4. 生徒への影響と、休校中の声かけ

4-1 定期試験がないことへの対応

生徒に与える影響でわかりやすいのは、定期試験がないことです。授業数をしっかりとったとしても、試験がないと学校教育の成果はあまり出ません

 補足
麹町中学校では中間試験、期末試験を廃止して大きな成果が出ています。
しかし、定期テストがない代わりに、単元テストを導入しています。
定期試験よりも細かく試験をしていて、試験自体は必要、むしろこまめな試験こそ重要という見方ができます。

私の学校の生徒は、休校の措置を伝えた日にすぐに、
「テストは配ってくれますか?」
と言いにきてくれました。すごく嬉しくなりました。
試験の重要性が実感できているんだなと。
(別記事で、「どのような点でテストが重要なのか」をいつかまとめてみたいと思います)

そこで、行うはずだった試験を解答解説をつけて配布することにしました。夏休み級に教員の指示が受けられない期間があるので、勉強をする環境としてはかなり苦しいと思いますが、少なくとも教材で苦労がするようなことがないようにしてあげたいです。

4-2 GoogleClassroom  ベネッセClassiの利用

私の学校では、GoogleClassiどちらも利用しています。これらの教育プラットホームで休業中の勉強や、教員と生徒保護者の連絡をスムーズに行うことができると思います。

先ほどの定期試験の配布も、休校開始までに間に合わなかったとしても、これらを利用して配布したり、解答解説を時間差で配布をしたり、その他の課題プリント等も配信できます。

また、休校期間が延長・短縮されるような事態のとき、一斉連絡を簡単に行えます。(メーリングリストを採用している学校も増えていますが、メーリングリストは届かないトラブルも少なくありません)

専用プラットフォームの方が連絡漏れは少ないと思います。

Googleは無料でアカウントが作れ、ベネッセClassiは普段は有料ですが、この期間は無料でアカウントを作成してくれるらしいです。ただ生徒にアカウントを渡すチャンスが実質ないので、今からだと動くのは厳しいかもしれません。

5. 生徒の安全・安心に向けて

優先順位の第1位は生徒の健康なので、休校措置が生徒の健康を守ることに繋がることを祈りながら、事態が落ち着くのを待つしかありません。

優先順位の第2位として、生徒の学習環境を良い状態に保つことが学校の使命とも言えます。
生徒も1ヶ月学校がないことに不安を持っていました。
課題は出してもらえるのでしょうか
という質問があったくらいです。

自学ができるような教材を渡し、場合によってはICTの技術を使いながら時間差で配布していくと少しでもよい環境を提供できるでしょう。

6. 政治的な話

今回の決定が、急すぎる、学校現場を混乱させている、という批判がニュースやSNSで聞かれます。これについて、私の個人的な考えを書いておきます。

政府が休校の要請を出したことは、結果的に現場の混乱を避けていると思います。
政府発表がないままだと、学校で感染者が発見されるまで、休校措置はなかなか取れず、いざ出た時に即日学校閉鎖になります。
そうなった場合の方が、急な判断となり、大きな混乱が生じます。上記に書いたような対応も取れません。
さらに、他校と生徒との教育機会の不平等につながります。

政府が日付を指定してくれたことで、周囲の学校と足並みをそろえて休校の期間に入ることができます。

もちろん、この記事に書いたように、出会い、別れの儀式を行えないこと、定期試験が行えないことなどの教育の乱れはありますが、休校が感染予防の一助になることや、感染者が出てから突然の閉鎖するような動きに比べれば、とても落ち着いた行動ができると思います。教材を事前に渡すこともできました。

もちろん、学校に生徒を預けて、仕事に出ていた保護者の方は、仕事と家庭の両立が求められ、非常に厳しい生活になるかもしれません。特に低学年の生徒、児童がいる家庭は大変になると思います。
そういった点もありますが、実際に耳に入る政治批判は、現場を見てるようで見ていないように感じます。
学校は休校中の教育の質をなるべくあげる努力をし、家庭では子供達の安全を守れるように努力をする、双方の努力で子供達を守らなければいけない時期なんだと捉えることが必要なのだと思います。


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