1.はじめに
2019年度で私の教員歴が晴れて10年目となります。免許更新講習等もあり、自然と10年間を振り返る機会となる1年でした。
その中で、『教育観が新人の時と現在とでは、大分違っているなぁ』としみじみ感じ、『この変遷は忘れてはいけないものだ!』と思いつき、衝動的にこの文章を書いております。
つまるところ、この記事はただの自分用のメモになっています。しかし、新人の先生をはじめ、色々な立場の人に見てもらえれば、何かの気づきや、共有できる教訓につながるかもしれない、とも思っています。固い話かもしれませんが読んでいただけると嬉しいです。
2. キャリアの紹介
まずは、簡単に私のキャリアを並べてみましょう。
勤務校 | 教員歴 | 形態 | 業務の内容 |
中高一貫校 (1校目) |
1〜2年目 | 常勤 | 授業・行事の手伝い |
中高一貫校 (2校目) |
3〜4年目 | 常勤 | 専任と同じ。 4年目に初担任。 |
5〜6年目 | 専任 | 専任の業務+IBの研究 | |
中高一貫校 (3校目) |
7〜10年目 | 専任 | 専任の業務 |
並べると職場をころころ変えてる印象がありますね。でも毎回、「ここに骨を埋めるんだ!!」って気持ちで赴任してます。
さて、この10年間を以下のように3期に分けてみました。
勤務校 | 教員歴 | 形態 | 業務の内容 | |
中高一貫校 (1校目) |
1〜2年目 | 常勤 | 授業・行事の手伝い | ① 授業至上主義期 |
中高一貫校 (2校目) |
3〜4年目 | 常勤 | 専任と同じ。 4年目に初担任。 |
|
5〜6年目 | 専任 | 専任の業務+IBの研究 | ② 自分は無力だ、ガムシャラ期 |
|
中高一貫校 (3校目) |
7〜10年目 | 専任 | 専任の業務 | ③ 物理なんてどうでもよかったんだ期 |
それぞれの期でどんなことがあって、どんな風に考えていたか、詳しく文章にしていきましょう。
3.授業至上主義期
新任の頃は、『授業がもっとも大切!!もっと言えば、全ての教科の中で物理が一番大切だ』と考えていました。
教員たるもの、生徒の武器になるような知識・技能・考える力をつけてあげるのが使命であり、それが生徒の将来につながる。
物理は最も考える力を伸ばせる科目であり責任は重い。
授業が上手ければ生徒との関係も築ける。逆に授業がダメだと、生徒の関係も築けずに、何を指導しても聞いてもらえなくなる。
こんな教育観を持っていた時期です。
もりもりと勉強し、4年目には書店に並ぶようなメジャーな物理の問題集・参考書は全て読破しました。参考書、問題集を読破することは先人の様々な指導法を学べるので、ダイレクトに授業に反映できて重要なSTEPでした。
今現在も、大学入試問題正解は毎年解くようにしています。
現在でも、教員にとって一番伸ばすべき能力は授業をする能力であることは間違いないと思っています。担任業務と違って努力で伸ばせる領域であることからも、こういう意識は必要でしょう。
4.自分は無力だ、ガムシャラ期
4年目、5年目の担任をしている中で、非常にショッキングな出来事がありました。詳しいことは書けませんが、担任としてフォローが足りず、2名の生徒が学校を去る結果となりました。
このときから『自分は教員に向いていない』という想いが生まれます。『自分のクラスの生徒は不幸になる』という不安が常につきまとっていたのです。
物理の指導に関しては、所属学年の模試の成績が県内トップの学校よりも高く、同校の過年度比較でも7〜8ポイント高い結果となっていたので評価されていました。しかし、この指導も『自分が教員であるせいで、不幸になる生徒がいるかもしれない』という気持ちが根底にある中での、ガムシャラな努力の結果なようにも感じます。
(自分の抱える負の感情を少しでも払拭するため)自分のできることは全力で行うべきだ!
教科指導でも、担任業務でも、とにかく時間をかけて、生徒に向き合って、全員を最善の道に導くべきだ。
そういう考えを持っていた時期です。
5.物理なんでどうでもよかったんだ期
教員5年目の担任で、自分の所属していた学年が卒業しました。そのタイミングで学校を変えました。『自分は教員に向いていない』という想いが生まれた学校に居続けることに耐えられなかったというのが正直なところです。
新しい学校では、初めて中学生を担任しました。中学担任を持つことで、生徒の成長のプロセスをより長い期間で見られるようになったり、今までよりも濃い保護者との付き合いができたりしました。その結果が第3期「物理なんてどうでもよかったんだ期」です。
誤解を招きそうな表現ですが、真意はこうです。
教育に携わる者が第一に考えるべきことは、生徒が幸せな人生を送れることである
ただし、どんなことをしたら生徒が幸せになれるか、なんてことは生徒1人1人違うので、具体的に何を目標にするかははっきりしません。
私が意識しているのは以下の3つです。
① 生徒が笑顔で学校にこれるような環境を作ろう。それには家庭でも笑顔でいられることが前提となる。
生徒と同じくらい保護者のフォローをしよう。
② 物理という教科を利用して、学問を楽しむ心を持ってもらおう。ついでに思考力、論理力を身につけてもらおう。
③ むやみに手助けしないけれど、困ったときには頼れる大人であれるような距離感を作っておこう。
例のショッキングな出来事があったせいか、私は他の教員と比べて、保護者と話をしている時間が長いです。
しかし、その時間はとても重要なものと考えています。
教育は学校だけで行われているものではないし、家庭だけで行われているものでもない。学校と家庭は、密接に連携して、生徒に声をかけていく方がよい、そんな考えです。
長男長女の保護者の場合、保護者初心者とも言えますし、フォローしあえる関係を作っておいた方がよいと思います。
6.まとめ 教育の目標は成績?生徒の幸せ?
結局やっていることは、物理の指導を全力ですること、生徒、保護者と向き合い学校を安心できる場所にすること、という至って普通のことです。
しかし、その根幹が『生徒が幸せな人生を送れますように』という点にあるということに気づけたのが、自分の中では大きいように感じました。それに至るのに10年かかっています。
『自分のクラスの子は不幸になってしまうかも』という想いは、いまだに付き纏っています。しかし、それひっくるめて、今の自分があると考えて、この先も教員を続けて行くのかなと思います。
以上です。ただの独り言をまとめた文章になりましたが、お読みいただきありがとうございました。日本の教育を良くしていけるよう、これからも頑張っていきますよ!